当院では原則1歳以上で、MRのI期が終了している子供さんを対象にワクチンを接種します。1歳未満で接種をご希望の方は個別にご相談ください。また子供さんを連れてくる保護者の方で、基礎疾患のない健康な父親・母親にかぎり一緒に予約を受け付けます。
今年もインフルエンザワクチンの接種時期になりました。昨年は新型の大流行の真最中で接種対象者や接種回数、料金にいたるまで直前まで決まらず、医療現場も大混乱でした。現在はようやく新型の流行も下火になり、来シーズンに向けての準備が整いました。
今年のワクチンは季節型(A香港型+B型)と新型(H1N1)の3種類に対して効果のある3価ワクチンです。
生後6か月から任意接種できますが、神戸市では1歳未満の子供に対しては積極的勧奨をしていませんので万一の事故・副反応の際には神戸市独自の補償制度は適応されません。
一般的にインフルエンザワクチンは接種後約2週間で抗体が上昇し始め、1か月でピークに達し、約5か月間は効果が持続するとされています。13歳未満は原則2回接種ですが、前年にインフルエンザにかかった人や毎年ワクチンを受けている人は1回でもある程度の効果が期待できるようです。2回接種の場合、1〜4週間隔で打ちます。そのためインフルエンザの流行する1月から3月までに免疫をつけるには遅くとも12月中には接種を終えるのが望ましいでしょう。
また、とりわけ質問が多いのが1歳未満の乳児に対する接種の是非です。日本小児科学会は2006年に1歳未満児に対する本ワクチンの有効性は明らかではない、と発表していますが、それは調査の対象者の絶対数が少ないからとか、接種量(0.1ml)が少なすぎるからだなどの異論もあります。そもそも生後6か月未満の乳児に対しては、免疫反応の未熟さや母親からの抗体の影響などのため、はじめからその議論の対象になっていないようです。科学的医学的に証明されたたった一つの正解、というのは存在しないのです。
基本的には昨年の新型ワクチンに対する考え方同様、両親・兄弟などの濃厚接触者をまずワクチンで予防することが望ましいと考えます。ただ保育所などの集団生活をおくる乳児には、その効果や副反応などの説明を十分聞き、納得された上で接種してあげればいいと思います。
季節性インフルエンザとは
インフルエンザとは、気道の粘膜などにインフルエンザウイルスが感染する病気です。主な症状は、高熱(38~40度)、関節痛、筋肉痛があり、感染力が強く潜伏期間が短いことも特徴です。毎年、流行期の12月下旬から3月中旬くらいまで、季節性インフルエンザが流行し、多くの人を苦しめています。一般的に、インフルエンザも、かぜ症候群の一つですが、インフルエンザは通常のかぜと比較して、症状が重く、治るまでに時間がかかります。子供と高齢者が特にかかりやすい病気ですが、高齢者がかかると肺炎を合併したり、持病を悪化させたりして、重体となり、最悪の場合、死に至ることもあります。
季節性インフルエンザの原因
季節性インフルエンザの原因になるインフルエンザウイルスはA・B・C型があり、その中で問題となるのはA型とB型です。特にA/H3N2(香港)型ウイルス、A/H1N1(ソ連)型ウイルスと、B型ウイルスの3種類が流行することが多いです。くしゃみや咳で、空気中にウイルスがただよい感染します。
季節性インフルエンザの症状
季節性インフルエンザが流行する冬季には、インフルエンザ以外の感染症も流行します。そのため、診断を下すためにはインフルエンザウイルスに感染しているかどうかの検査を行ないます。現在では15分程度で結果が出る迅速診断キットが検査に使用されます。鼻腔ぬぐい液(鼻の奥に綿棒を挿入し、数回こするようにして粘膜表皮を採取します)または咽頭ぬぐい液(のどの奥に綿棒を挿入し、数回こするようにして粘膜表皮を採取します)を検査の材料として使います。検査で陽性と出た場合には、ほぼインフルエンザと断定して間違いはありませんが、陰性と出た場合にはインフルエンザであることもインフルエンザでないこともありえます。鼻腔ぬぐい液:約80~85%前後、咽頭ぬぐい液で約60~80%前後の陽性率です。特に発病後1日以内は感度が低いため、インフルエンザに罹っているにもかかわらず、検査では陰性となる可能性があります。
季節性インフルエンザの検査
現在、このウイルスに効果のある抗ウイルス剤はありません。このため、通常、対症療法が行われます。初期の嘔吐や発熱、その後の下痢に対して水分補給と電解質補充がもっとも大切です。下痢がひどい場合には水分の損失を防ぐために輸液などを対症療法的に用いる場合があります。
季節性インフルエンザの診断
診断は診断キットで陽性と出た場合はインフルエンザと診断されます。しかし、陰性と出た場合でも症状が典型的であれば、総合的に判断し、インフルエンザの薬を内服することもあります。
季節性インフルエンザの合併症
インフルエンザの合併症としては、高齢者がかかりやすい肺炎や乳幼児がごくまれに併発する脳炎があります。その中でも肺炎は高齢者に起こることが多く、死亡の原因となることもあるため、特に注意が必要です。これらの合併症を併発しないための対応策としては、季節性インフルエンザが流行する前に予防接種を受けることです。そうすれば、季節性インフルエンザにかかったとしても症状が軽くすみます。また、一部の解熱剤ではライ症候群や脳炎などを引き起こすことがありますので、熱が高いからという理由で、市販の解熱剤を自己判断で服用するのは注意が必要です。
季節性インフルエンザの治療
治療は薬物療法が中心となります。インフルエンザウイルスの増殖を抑えるタミフルまたはリレンザを使用します。
タミフルとリレンザはA型、B型の両方に有効性があります。タミフルは飲み薬、リレンザは吸入する薬で、両方とも48時間以内に服用しなければ効果がありません。発病48時間以内に服用すれば、ウイルスの増殖を抑え、効果があります。迅速診断法で陽性であれば、どちらかの薬剤を使用します。
抗ウイルス薬はインフルエンザ感染に最も有効な治療薬です。インフルエンザはウイルスですから、抗生物質は無効です。また、早めに治療することは、自分の身体を守るためだけでなく、周りの人にインフルエンザをうつさないという意味でも重要なことです。発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛などには解熱鎮痛剤(カロナール)、鼻水、くしゃみには抗ヒスタミン剤(PL顆粒)、咳には咳止め(アスベリン、メジコン)、痰に去痰剤(ムコダイン)を内服します。また、小児の場合は解熱鎮痛剤(ボルタレンなど)を使用するとまれに、ライ症候群という合併症を併発することもありますので、必ず医師の指示のもとに服用するようにしてください。
季節性インフルエンザの予後
通常は2、3日でピークを迎えて、1週間くらいで治ります。炎症が強い場合は咳だけ残ったり、のどの違和感が続いたりすることもあります。
季節性インフルエンザの注意点
できるだけ安静にし、十分な睡眠と栄養を取り体力をつけることが必要です。インフルエンザウイルスの空気中での活動を抑えるために、室内の湿度を60~70%に保つように心がけてください。また、水分を十分に補ってあげることで脱水症状を予防しましょう。
インフルエンザウイルスは熱が下がって、症状が改善しても、体の中に残っているため、周りの人にうつしてしまう可能性はあります。流行を最小限に抑えるためにも、熱が下がった後も家でゆっくり休むことが大切です。目安としては熱が下がってからも2日間は人と接触せず、家でゆっくりするとよいでしょう。
季節性インフルエンザの予防接種
インフルエンザの予防接種を受ければ、絶対にインフルエンザにかからないということではありませんが、予防接種するとインフルエンザにかかりにくくなります。インフルエンザにかかっても、ワクチン接種しなかった人と比べて、重くならずにすみ、治りが早くなります。実際成人の場合は、インフルエンザの発病阻止率は70%~90%前後といわれています。なおインフルエンザや肺炎による入院患者数が30~60%減り、死亡者数が50~70%減ったという報告もあり、合併症にも有効です。予防接種を受けてからインフルエンザに対して有効になるまで2週間程度かかり、その効果が十分に持続する期間は5か月前後となります。
のせ小児科クリニック
概要院長 | 野瀬まどか |
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標榜科目 | 小児科 |
診療時間 | 午前 9:30~12:00 午後 16:30~18:30 |
休診日 | 火曜日午後、日曜日、祝祭日 |
住所 | 兵庫県神戸市長田区四番町7-27 | ワコーレ長田総合ビル2F
電話 | 078-575-4865 |
アクセス | 神戸市営地下鉄長田駅・阪神電鉄高速長田駅、徒歩1分 |
連携医療機関
- 公文病院
- 入院施設があり、完全看護を実施しています。
- 西市民病院
- 小児科部長の江口先生は小児腎臓疾患がご専門ですが新生児診療もなさるオールマイティです。
- かなたに診療所
- 無床診療所ですが、病児保育施設を併設されています。
大変おやさしい女医さんです。